2019年03月26日

ジェンダーレス男子に愛されています。(1)

ジェンダーレス男子に愛されています。 1 (フィールコミックスFCswing)
ジェンダーレス男子に愛されています。 1 (フィールコミックスFCswing)

表紙の子、これはかわいい。めっちゃかわいい。男の子だけど。かわいい以外の言葉が出てこない。とにかくかわいい。やばいですよこれは。正直なところ、タイトルの意味をあまり理解せずに読みだした感はありましたが、ここまでのものだったとは……。

「ジェンダーレス男子」とは、女性的とされる嗜好を持つ男子のこと、なのかな? トランスジェンダーや女性願望的なものとは違って、性自認はまぎれもなく男なんだけど女の子っぽさを取り入れることに抵抗がない感じ? 現状ではそんな感じの認識だけどいろいろ間違ってそうな気はする。この一冊だけでは到底理解できる概念ではなさそうので、またおいおい知識を追加していければというところ。

ともあれ、話としては、そんなジェンダーレス男子なモデル・めぐるくんと、彼と同棲中の漫画編集者のヒロイン・わこのふたりを中心にしたもの。ふたりがデートしたり、お家でイチャイチャしたり、それぞれのお仕事の様子も描かれたり。

なんだけど、めぐるくんが圧倒的にかわいい。この男の子がかわいい・2018(一応昨年末発売の本なので)。なに、この男の子。ヒロインより見た目ふつうにかわいいし。料理に化粧に、いわゆる「女子力」の高さをこれでもかと発揮してるし。そしてなにより一途なヒロイン大好きぶりを隠しもせず向けてくる感じがもうめちゃくちゃかわいい。わこちゃんにかわいさを褒めてもらえればなにがあっても喜んじゃう。すごくかわいい。

それに対してヒロインのわこちゃんは、やや淡白な印象を受ける部分はあるでしょうか。めぐるくんのかわいさを世に広めたいという気持ちに駆られるあまり、本人への対応がおざなりになってるような部分もある。でもそれとめぐるくんへの気持ちは別であって。そこまで大きく描かれなくても、めぐるくんに愛されてる幸せはばっちり伝わってくるんですよね。そしてなにより、きれいな外見のめぐるくんのかわいさを引き出して世に広めることに関しては、本当にいきいきした表情を見せてくれるんですよ。むしろ本当にかわいいのはどっちだというレベル。こんなにキラキラした姿を見るためなら、そりゃあめぐるくんも自分のきれいさにますます磨きをかけたくもなりますよ。そしてそれにともなって、めぐるくんの健気なかわいさもさらにアップしていきますよ。なんですか、あのインタビューでの回答は? かわいすぎませんか? めちゃくちゃいいですよね。

最高にかわいいふたりのカップルでした。オススメです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 04:02| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月24日

お姉ちゃんに添い寝でイチャイチャしてもらえるのは弟君の特権です♪

お姉ちゃんに添い寝でイチャイチャしてもらえるのは弟君の特権です♪【バイノーラル・耳舐め・囁き】
お姉ちゃんに添い寝でイチャイチャしてもらえるのは弟君の特権です♪【バイノーラル・耳舐め・囁き】

両親が不在の週末に、近所のおねえちゃんにお世話される耳舐め音声作品……らしいです。作品紹介ページを見たところ。

そこを見ずに音声だけ聴いていて、大学で一人暮らしをはじめたお姉ちゃんが弟くんのお世話をするためだけに週末帰省してきていっぱい耳舐めされちゃううえに恋人同士にもなっちゃう素晴らしいシチュエーションの音声作品だと思いこんでいました。いや、でも言われなければそういう作品だと思いこみつづけることも可能なのではないかと(ry

(以下の感想は、その勘違いに気づく前に書いたものになります)

ともあれ、ASMR的な音声作品としての内容は、ささやきと耳舐め。とにかくこのふたつにしぼった気持ちのいい音声を楽しむことのできる作品でした。トラック数はそれほど多くはないですが、いくつかのシチュエーションでささやきと耳舐めを楽しませてくれます。

そのうちでも特に、この作品は耳舐めの音がめちゃくちゃいいんですよ。ちょっとストーリー的にツッコミ入れずにはいられないところもありましたが、そんな部分はどうでもよくなってしまうほどの気持ちのよさ。

ひとつ目の耳舐めパートでは、軽くついばむようにして吸われるちゅうちゅうとした音がたまりませんでしたね。耳をくわえた口のなかで舌が動く音、そうしながらちゅーと吸われる音。強すぎず弱すぎず、絶妙なタッチで伝わってくる耳舐め音のとても気持ちのいいこと。そしてとどめのようにくわえられる、耳の端を舌で軽くたたくようなぺちぺちとした音。これがもうやばい。ただでさえ快い音に体の力が抜けてるところにぞくぞくっとした快感が走っていって、なにも考えられなくなってしまいそうな気持ちよさ。すっごくよかったです。

舌の動きとくちびるがふれることによる音の気持ちよさの表現がうまい声優さんなので、キス音もまたいいんですよね。ちゅっと、軽くついばむような音なんだけど、それがまたかわいくて、幸せな快さを感じさせてくれる音で。お姉ちゃんにされるがままに身を任せてしまいたくなる。そんな心地のよさがあります。

ふたつ目の耳舐めパートは、晴れてお姉ちゃんの彼氏になって後のパート……なんだけど、そんなパートのお姉ちゃんがいきなり酔っぱらいでひたすら絡まれる流れ。なんだこの展開。しかも、変なスイッチでも入ったのか、そのうちに主人公のことをお兄さまと呼び出す始末。姉弟ものの音声作品を楽しんでいたと思っていたら、作品内で擬似兄妹プレイがはじまるという。なんだこれは……どこからつっこんでいいかわからないぞ……。

まあでもキャラ設定上は姉なわけで。酔って甘えんぼうになったお姉ちゃんから、くちびるに、耳にちゅっちゅと何度も口づけを落とされる展開はたまらないものがありますよね。酔ってることもあってか、耳舐めの音にも素面のときより主人公への熱い気持ちがあふれてるようでぞくぞくさせられること。耳をぺちぺちとたたく音も前のパートよりもやや勢いがあって、本当にやばい。そうして、最後には弟君にもたれかかったまま寝落ちしてしまうまでがかわいいお姉ちゃんですよね。

みっつ目の耳舐めパートはふたつ目に輪をかけて疑問符が飛び交うシチュエーション。眠っている主人公に、素面のお姉ちゃんと酔っぱらいのお姉ちゃんのふたりがかりで、左右同時に耳舐めされる展開。なんで、お姉ちゃんがふたりの人格に分裂してるの……。SFやファンタジーチックな設定、どこにもほのめかされてなかったよね? ……自分はもうツッコミをあきらめました。

まあでも、耳舐め音にだけ集中していればやっぱり素晴らしいパートなんですよね。片方は素面なお姉ちゃんによるやさしく心地よい耳への愛撫。もう片方は酔っぱらいのお姉ちゃんによる稚気にあふれた勢いのある耳への舌戯。片方からの刺激にぞくぞくとした快感にひたっていると、次にはもう片方が自身を主張するかのように勢いをつけてきたりして。そうして左右両方から絶え間なく押し寄せる快感の波に身を任せているのはまさに至福の心地。これ弟君、起きるどころかそのまま意識飛んじゃいませんかね。とてもいいと思います。

そんな感じで、1時間近くにもわたって耳舐め音を堪能させてくれる音声作品。たいへんいいものでした。耳舐め音声が好きな人だけでなく、興味があるという人にもぜひともといったところですね。

デフォルトだと、両耳舐め以外はすべて右耳への耳舐めになっていますが、おまけの左右反転ファイル等で適宜調整すると左右でバランス取れてよりいい感じになるのではないかと思います。利き耳とかある方には片側全振りも選択肢としてはアリですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 22:01| Comment(0) | 音声作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月23日

たのしい傭兵団(1)

たのしい傭兵団 1 [ 上宮将徳 ] - 楽天ブックス
たのしい傭兵団 1 [ 上宮将徳 ] - 楽天ブックス

アカデミーの学生として、エリートコースへの道を進んでいた主人公が、恩人でもある伯父の頼みによって一時休学して傭兵団の事務長を務めることになる話。

悪くない。というか、好きな雰囲気の話ですね。

主人公のウィラードは、平民からアカデミーに進学できるだけの頭のよさがあるキャラであり、またエリートコースの入口に身を置いてその先を夢見る出世欲も感じさせる人物であり。そんなウィラードからしてみれば、伯父の傭兵団の手伝いなんて時間の浪費のようではあるんだけど、断りきれない程度には身内への情を持ち合わせていたことが物語の幕を開けるきっかけではあったでしょうか。

大陸中に山ほどあるというごろつきの集まりである傭兵団。作中世界におけるそれは社会における必要性から生まれた人々ではありながら、戦があれば雇われて戦に参加し、戦がないときには日雇い仕事で日々を食いつなぐ、多分にその日ぐらしに近い階層ではあるようで。そんなだから賊との違いは紙一重。まちがってもエリート候補が自らすすんで身を置きたがる場所ではない。傭兵たちからしてみても、お高くとまったエリート臭が鼻につく奴の指図なんて受けたくないもの。

そんな水と油のような関係の主人公と傭兵たちがどう折り合っていくのかと思っていたら、これが真正面から自分のことを認めさせていく正攻法だからおもしろい。まあこの主人公、参加することになった傭兵団とはもともと交流があったようなので、根っからのエリート階級というわけでもなし、柄のよくない傭兵たちとの付き合いもよくよく身についてはいたんですよね。ケンカをさせても生半可な相手には引けを取らない腕っ節もあって、まずもって侮りを受けない下地はあった。

その上で、団の会計役として、金勘定にうとい傭兵団の団員たちの生計を一手に引き受ける立場を担っていれば、団長の縁者として現れたよそ者のような男でも、だんだんと支持を集められようというもの。とんとん拍子ではないけれど、地道なステップがなかなかにおもしろい展開ではあります。まあその間、ケンカをしたり、無茶ぶりに腹を括らされたり、ろくな引き継ぎもなく任された仕事で埋め合わせを要求されたりと、次から次へと楽ではない展開が続いてはいるんですけど、それでも気圧されることなく自分の仕事を果たしてみせるのは、度胸の据わりようを思わせてくれて好印象なんですよね。

そういった流れがあったからこそ、ラストの展開はそれまでと比べてものっぴきならない雰囲気があって。汗みずくになりながら体を張って立ち回る流れはこの一冊の締めくくりとして、いい山場だったと感じさせられるものがありましたね。有能さはそれなりに見せてくれていた主人公でもひとりではやや手に余る難事で、けれど一歩も引けないと踏ん張るからこそ、そこまでに培ったキャラクターたちの信頼が後押しとなって
事態を解決へと導く。成長物語的で爽快感のある展開がおもしろかったです。

成長物語といえば、主人公にとっては傭兵の研究はその後のキャリアの役に立つぞという教授のありがたい言葉によって送り出された傭兵団ではあるけれど、ここでの経験もまた、案外とその後につながっていきそうなと思わされる活躍ぶりが期待させてくれる話ではありましたね。

もともと単行本として出ていたものの文庫化ということで、次の巻もすぐ翌月に発売されている模様。楽しみに読みたいですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 02:12| Comment(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月20日

初めて恋をした日に読む話(1)

初めて恋をした日に読む話 1 (マーガレットコミックス) [ 持田 あき ] - 楽天ブックス
初めて恋をした日に読む話 1 (マーガレットコミックス) [ 持田 あき ] - 楽天ブックス

初めて恋をした日に読む話 1/持田 あき | 集英社コミック公式 S-MANGA

これは設定がつらすぎる。中高ともにトップだったのに、東大受験で失敗したまま立ち直れず、31にもなって実家暮らしのまま情熱もなくくすぶってるとかもう、もう……。こんな、見届けざるをえない感がやばい。

もう本当に、読んでるだけで心が痛くなってくる。人生迷走したまま何をやってもダメダメなものだから、他人からダメ出しされる前に自虐に走って笑顔貼りつけてみたりとか、グレて反抗してる不良を見て自分の若いころは優等生だったものだからそんな経験もしてこれなかったとノスタルジーに浸ってしまったりとか、いろいろ見てられなさがやばすぎる。おまけに親には諦められてるわ、勤め先ではお荷物扱いだわ、もう勘弁してくださいと言いたくなる設定の塊のようなヒロインであった。読むだけで正気度が下がる。なんだこれは……。

前々からタイトル見かけて気になってたマンガではあったけど、まさかこんな話だったとは。いや、好きですけどね。好きにならずにはいられない話だけどもね。なかなかにつらいものがありますよねという。

さて、そんなヒロインの転機は不良高校生たちとの出会い。かつての自分ができなかった親への反抗に青春を費やす男の子たちにまぶしさを感じていたら、そのうちのひとりが親に連れられ勤め先の塾にやってきて、なんやかんやあった末に彼の受験指導をすることになる流れ。

これがまたいい感じなんですよね。親のいいなりなるのではなく自分たちの意志で反抗する不良たちとわいわい騒いで、情けない姿も見られながら打ち解けた彼らのうちのひとりと失敗した受験の記憶を取り返すかのように仕事に取り組み始め、仕事に恋に人生に、見失っていた情熱を取り戻していく。人生に挫折感を感じている人間にとって、これがどれほどの励ましになることか。まあ表紙の少年がヒロインからふた桁年下なこともあって、恋のほうはまだいくつかステップ踏まないと進みだしそうもないんだけど。

話として序盤も序盤であり、ここからどういう展開になっているのかはわかりませんが、ともあれ楽しみに読んでいきたいシリーズになりそうです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 23:28| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月19日

お弁当にはハートを添えて

お弁当にはハートを添えて (プリズム文庫)
お弁当にはハートを添えて (プリズム文庫)

自覚のない天然可愛い系男子な律が癒しな話であった。いやまあ作中で天然な言動になっちゃってたのの一部には理由がないわけじゃないんだけども。仲のいい女友達の彼氏と、ふたりがすでに別れてるとは知らされないままその元カレに惹かれていっちゃったら、罪悪感で悩んだりおかしな態度にもなろうというもの。まあもともとの天然王子な部分もかなりあったし、それがまた可愛いかったからいいんだけど。

本人のいないところでされてる律についての会話にも、ほっとけない奴という気持ちがあふれてていい感じだったし、まさにそんなタイプの純粋な男子でしたね。笑ってごまかして過ごしてこれちゃった天然系というか。だからこそ、律の代わりにずけずけとものを言えたりそれほどまでに律のことを大切に思える裄久は安心できるお相手だったし、祝福できるラストがいいものではありました。いい話でした。

まあ料理のできる男子は強いということで。仕事人間との相性は抜群であった。徹夜続きでぼうっとしてるお相手を食事メニューで融通利かせて自然に気づかったり、押しかけるように上がりこんできた相手にもしっかり舌鼓を打たせる料理を出していたり、料理を通じた特別な関係というのが、所帯感を感じさせてなかなかいいものでしたね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 03:29| Comment(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月18日

金の女領主と銀の騎士

金の女領主と銀の騎士 (アイリスNEO)
金の女領主と銀の騎士 (アイリスNEO)

女領主と男執事の主従恋物語。最高でした。最高に素晴らしかったです。

特に素晴らしかったのは、領主であるサリーナのキャラ。執事のエディアルドに淡い想いを寄せていて周囲にもそれと知られているにもかかわらず、本人を前にするとしどろもどろになってしまって打ち明けられずにいる。そんなラブコメ的においしいキャラかと思いきや、ここぞというところではとんでもなく思いきった言動を見せてくれるんですよ。奥手な女性に見えて、恋愛譚としてはかなりヒロイン主導の構図。

視点人物としては、最近読んだ女性向けとしては珍しく執事のエディアルドのほうであって。その上で、物語としても彼が主であるヒロインにモノにされる話であって。これ、レーベル的にアイリスNEOなので女性向けですけど、一部の男読者にも絶対需要ある話だと思うんですよね。すくなくとも自分は大好きなタイプの話でした。

その他、男執事であるエディアルドのほうもいいキャラしてるんでするよ。堅物鈍感主人公で、主のサリーナに一身に仕える元騎士。彼も実は主のサリーナに口には出せない想いを抱いていて、けれど彼女もまた彼に想いを寄せているなどとは思いもかけず主の側に侍り、ときにエディアルドの存在に心乱される主の胸のうちに気づくことなく彼女を支えることに喜びを見いだす。ほほ笑ましく気持ちになるような、ときにじれったくなるような両片想いの構図。

サリーナが自身に想いを寄せているなどとは露ほども思わないものだから、ときに隠し事をされたと思ってしまうやりとりにさびしさを覚えてしまうし、それは己が執事として至らないからだと反省を深めたりもする。本当のところを知っていれば的はずれな悩みでしかないんだけど、それほどまでに恋に疎い堅物ならではのすれ違いっぷりは思わずにやにやとしてしまうようなよいものであって。

というか、エディアルドって本当に不器用なほどにサリーナひと筋なんですよね。サリーナひと筋すぎて、実は卑しからぬ出自であるにもかかわらず、その想いに蓋をするようにして従者としての献身を捧げて、自身の将来のことよりも主のことを優先して、伴侶の心配までしたりする。そのくせ、彼女が自分ではない相手に好意を寄せているのではとの推測に痛む胸を押し隠す様子はあきれてしまうほどの忠実な従者ぶりであって。まあそれがいいところではあるんですけど。とはいえもどかしさはどうしようもないものがあって。

そんなドツボにはまったようにぐるぐると想いをこじらせていくエディアルドに対して、ずばっと切り込んでいってくれたのが主であるサリーナだったんですよね。鈍感な執事にも理解できるほどにはっきりと気持ちを伝え、頑なに身を引こうとする彼に逃げ場を与えぬほどに周到な舞台を用意して終幕を迎えさせる。これがもう本当にみごとな手際で。あそこまでされたら、もうめんどくさい悩みなんて吹き飛んでしまうしかないでしょうというところ。

序盤では内気とさえ思えたサリーナの決意と行動にはびっくりさせられるものがあったんですけど、思えば彼女の領主としての手腕は、亡父の跡を継いでまだ数年とは思えないそつのないものではありましたっけという。エディアルドの出自の問題など、もろもろ含めてすべてなんとかしてしまう鮮やかな手並み。恐れいるばかりですね。

それでいて、結ばれた形は主従としてではなく、兄妹のように育ったというかつての姿のようであって。両片思いのふたりがともに望んだあり方を、とんでもないほどの決意で自ら手繰りよせてみせたサリーナに心をわしづかみにされずにはいられませんでした。

本当に、素晴らしい話でした。久しぶりに大当たりの主従恋物語。大好きです。ありがとうございました。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 19:48| Comment(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月06日

連邦制の逆説? 効果的な統治制度か

連邦制の逆説?: 効果的な統治制度か
連邦制の逆説?: 効果的な統治制度か

連邦制の逆説? - 株式会社ナカニシヤ出版

連邦制の逆説。それは、対立を解消し同じ国家の一員でありながら地域ごとに特色ある自治を促すはずの連邦制が、逆に国と地域の対立と分離をもたらすという論説であるようで。初めて目にする主張ではありましたが、なかなか面白い内容ではありました。

本書の構成としては、まず第T部の理論編でこの主張の概要とその下敷きになっている政治学の知見がまとめられ、その後の第U部の事例編でそれを念頭に置きながら各国の事例が紹介されていく。とはいえ、連邦制というくくりであげられる国だけだと事例がかなり限定されてしまうため、本書では広く地方自治の領域としてこの問題を取り上げている。そのため、扱う対象には連邦国家を名乗っている国以外も含まれる。タイトルから連想がつながりにくい国もあるかもしれないが、個人的にはそのおかげでより興味を持てる内容になっていたのでありがたいかぎり。

先に研究史や研究手法、理論的概要がまとめられていることから、初心者にも安心かと思いきや、むしろその辺の記述がどうにも抽象的で、事例編のほうが興味深く読めた気がするけれど、ともあれ理屈としては冒頭に書いた感じ。ユーゴスラビアの解体や欧米世界の各地でくすぶる独立問題などから、単一国家では為しえない多元的な統合国家を実現するはずが分離独立への一里塚となりうる可能性が指摘されている連邦制。ただ、ひと口に連邦制といっても地方分権の度合いは国によってさまざまであり、政党や政府の構造それぞれも、国家と地方政府を束ねる統合力としても遠心力としても働きうるものがあり、一概に連邦制が良い悪いと言えるものでは到底なさそうである。連邦制の導入にいたった経緯やそのもたらした影響にもその国ごとの事情があり、連邦制の逆説がどこまで一般化できるかについてはまだまだこれからの研究しだいなのかもしれない。


事例編で興味深かったのは、ペルギー、スペイン、イギリス、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、ユーゴスラビア、カナダあたり。やはり、個人的には西欧への関心がより高い。


ベルギーでは、オランダからの独立以来、オランダ語圏とフランス語圏の存在から、経済状況ともあいまって民族的な対立が存在していたようで。政策立案にも必然的にどちらかの有利不利が生じてしまうことから、1960年代末から主要政党の地域政党化もみられるなど、社会の分裂が進んでいたらしい。その問題への対応として、1993年に両言語圏のそれぞれの構成体とする「多極共存型」の連邦制が導入されるにいたったのだという。

これはオランダ語・フランス語両言語圏への分権化を進めることで対立の解消を狙うものであった。しかし、国政レベルではやはり両地域政党による大連立が基本であり、そこから90年代になると経済的に豊かなオランダ語圏から、分離独立を主張する地域主義政党が台頭しだしたのだという。それにより、連立交渉において、2007年にはおよそ半年、2010-11年においては1年半ほどもの間、首相が決まらない政治的空白期間が出現してしまうにいたった(2011年には国王アルベール2世が政治家たちへの不満の意を公的に発言するにも及んだとか)。

このように、ベルギーにおける連邦制は、経済状況の異なるふたつの地域圏への分化が、政党においては地域主義的言説こそが有権者の支持を集めるのに効果的な手段となるという意味で、分裂に向かう「競り上げ効果」を発揮しているのだという。その他にも、地域議会と連邦議会の同日選挙や、特に近年ではEUの人事など、大連立下での政府形成交渉に絡む事項の複雑化も指摘されていた。これらはまだ国家の分裂にいたるまでにはなっていないようだが、問題はくすぶりつづけていると言えそう。


スペインは正確には連邦制をとってはいないが、広範な地方分権を可能にする自治州国家制が採用されていることから、実質的に連邦制国家であると見なされて取り上げられている。本書の出版が2016年とあって、ここ1,2年の動きは触れられていないが、民主制移行直後の歴史がまとまっていてとても参考になる内容だった。

スペインは1970年代にフランコ体制からの民主化を迎えることになったが、もともとのスペインという国家成立の経緯もあり、カタルーニャ、バスク、ガリシアといった独立の火種を有する地域を複数抱えていた。そうした地域ナショナリズムを抑止し、地域の独自性を容認しながらひとつの国家としての形を維持していくべく導入されたのが自治州国家制であったという。この自治州制は導入時にすでに完成されていた制度ではなく、自治州側が自治憲章を改正したり、中央政府との交渉を重ねることで、広範な地方分権を果たしてきたようで。

近年はカタルーニャの独立運動が注目を浴びているが、この章の筆者はそれを連邦制の逆説と捉えることには疑問を呈しているように思う。分離独立の機運が高まっているのがカタルーニャだけであることもあり、カタルーニャ固有の問題であることを否定する根拠には乏しいというわけで。憲法裁判所による改正自治憲章の違憲判決がナショナリズム高揚の一因になったことは確かだろうけれど、それが連邦制(スペインでは自治州制だけど)による統合の限界を示しているかどうかは、時間をかけて他州の動向と比較する必要が指摘されている。

個人的に、地域ナショナリズムと敵対的な右派と融和的な左派という構図がどうも2000年ごろから見られていたらしいのが興味深くもあった。その後、いくつか新党が台頭してきているけれど、それでもこの構図は現在もつづいているように思うので。


イギリスでは、スコットランドにおけるナショナリズムが取り上げられていたが、なかでもイングランドに統合されながらも社会制度ともども独自の政策志向を有する地域性が維持されたことの指摘が興味深かったです。


ロシアや東南アジアの国々の事例は、地域ナショナリズムの抑止と多極共存を目指す連邦制およびその限界という観点よりも中央と地方の権力関係や地方内部での権力闘争といった視点からの分析が多かったような気もしますが、これはこれで面白くはありました。


ボスニア・ヘルツェゴヴィナでは、紛争後の和平合意によって、3民族・2エンティティ(構成体)からなる連邦国家として成立した国であるのだが、民族ごとの地域区分から、ベルギー同様の競り上げ効果が発生しているという。この状況を改善すべく憲法改正の議論なども行われているが、利害調整がうまくいかずに出口が見つからずにいるらしい。しかし、現状の連邦制自体も、紛争にまでいたった情勢下では複数の民族がまとまることのできる唯一の解だったとの指摘もあり、ままならない難しさがあるようである。


ユーゴスラビアはコラム的に触れられていただけだったが、チトーというカリスマ的なリーダーと冷戦下における非同盟主義の旗振り役としての立場から多数の民族を一体的な国家としてまとめあげていたのが、チトーの死や冷戦の終結によって、強力なリーダー不在のまま、経済危機に対してまとまった対応を取ることができず、民族主義の高揚から分離独立の発生にいたったという。

このコラムにおいては連邦制は多数の民族の求心力としても遠心力としても捉えられており、分離独立はそのバランスが崩れた結果であるとする。個人的にも、本書のテーマである連邦制の逆説に関して、現状で出せる結論はまだこんなところではないかと思うところである。


昨今の欧米国家で見られる分離独立運動の先駆けになったのはカナダにおけるケベックというイメージが自分の中であるが、これはすでに20世紀において2回も独立を問う住民投票が行われているという事実からきている。連邦政府としても、これまでケベックにはいくらかの分権化を進めてきてはいるものの、多数派の英語圏は仏語圏への過度な優遇には反発してきた歴史があるようで、民族のアイデンティティの問題としては根深い。

そんなカナダにおいていちばんに注目されるべきことは、独立問題に関して1998年に最高裁判決が下され、2000年には早くも連邦政府による独立のための条件を定めた法律の制定がなされているというところだろう。それによると、憲法改正による分離独立は可能だが、一方的に分離独立することは不可能であるとされているらしい。投票によって連邦離脱の意志が明確に表明された場合に連邦政府は州政府と交渉の義務が生じるとの内容であるようなので、そこから段階を踏んでいく流れになることだろう。
とはいえ、独立を認めない側の連邦政府が定めたルールであり、解釈の余地も残されていることから独立へのハードルはさらに高くなったとも言えるようで、現在の民主主義国家から平和的に独立することは果たして可能なのだろうかという疑問は残るところである。


以上、欧米を中心に東南アジアなども含めて、様々な国の連邦制的な分権的な統治制度とその歴史的展開を概観できる一冊として、とても面白い一冊だった。いくつか、もうすこしほかの文献にあたって理解を深めたい気持ちにもなってくる。この分野への興味を高めてくれる、いい本でした。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 01:41| Comment(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月05日

フェチップル 〜僕らの純粋な恋〜(1)

フェチップル~僕らの純粋な恋~(1) (KCデラックス)
フェチップル~僕らの純粋な恋~(1) (KCデラックス)

『フェチップル〜僕らの純粋な恋〜(1)』(るり原 ズラチー)|講談社コミックプラス

これ……こんなフェチなネタ、全年齢でやっちゃっていいんですか!? えろすぎませんか? 性的すぎませんか? 最高でした……。

この手のネタの供給は、一冊のマンガのうち、ひとつふたつあればラッキーで、こだわりのある作者さんならもうちょっとそういうのが見られてホクホクものという感じ(のイメージ)なんですけど、この作品は一冊まるまるフェチなネタの詰め合わせ状態で、これでもかというくらいにそうした描写を堪能できて至福感がやばい。まるで、雨粒で潤いを得ていたら洪水が押し寄せてきたみたいなレベル。脳の処理能力を超える幸せに押しつぶされて死ぬ。なにこの幸せ空間。最高か。あ、ちなみに自分は髪のほうです(唐突な告白)

まあね、主人公が髪フェチな設定というだけで期待はしてましたよね。でもね、そうして読みはじめてみたら、1話目1ページ目を見た瞬間に「ありがとうございました……」って手を合わせて拝まんばかりだったよねっていう。最高でした。

ヒロインがそれはもう見事なまでのロングヘアの持ち主なんですよ。まっすぐ下ろしたらお尻くらいまであるというか。そんなボリュームのある黒髪が、どの回でも存分に描かれるんですよね。サラサラとなびかせたり、簡単にまとめてみたり、それでも変わらずたっぷりと豊かな髪の存在感。それが一冊まるまるですよ? もう最高だったとしか言えませんよ。

まあでも、自分として主人公の嗜好のすべてに同意できるわけではないです。理解できないものもある。けど、“わかってしまう”ネタが多数あるだけに、その“わかってる”描写の数々に至福感を覚えずにはいられないんですよ。
目の前で髪をほどくのは性的というくだりとか、もう同意しかありません、はい。

これは同じような嗜好の持ち主や、その素養のある人はぜひ読んでみるべき作品ですね。それに、そうでない人にもぜひ軽率に読んでもらって、そしてうっかりフェチに目覚めてほしい。そんなことを思う一冊でもありましたね。全力でオススメします。

とはいえ、ここまでフェチなネタにばかりふれてきましたけど、それ以外でもラブコメとしてもおもしろい話ではありまして。まあフェチな出会いからはじまって、それからすこしずつ恋をはじめていってるふたりですからね。フェチに振りきれば変態的なまでの言動を取ってくれるにもかかわらず、こと恋愛に関してはまるで中学生のような純情さを見せてもくれる。これがたいへんニヤニヤものでして。
相手への想いを素直に表そうとすることにすら照れが先走ってなかなかうまくいかないもどかしさ。フェチな欲望全開な時にはもっとドン引きレベルでぐいぐいいってたりもするだけに、このピュアさのギャップはほほ笑ましいものがあります。次の巻ではもう少し進展が、ある……のかな?

途中から登場の主人公の妹もやっぱりなんらかのフェチ持ちで、この作品、変態しかいねえ……なコメディとしてもおもしろい作品であり。なんというかもう、キャラの理解や関係性の深まりよりも、互いのフェチへの(諦観まじりの)理解の深まりが先立ってる感があるのが笑えるところ。
いやまあでも、当人たちが満足そうならなによりということで?

性癖的にとてもよくて、ストーリーにおいてもおもしろい。素晴らしい作品でした。オススメオススメ。これは2巻もめちゃくちゃ期待のシリーズですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 03:46| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月01日

「音声作品」カテゴリ新設

しました。

数でいうとたぶんもう50作品くらい聴いてきてる音声作品ですけれど(もっと聴いてるかも? でもたぶん100には達してない)、ストーリーよりも音声そのものを楽しむ部分が大きいものであることから、感想を書こうとしてもなかなか言語化しづらさを感じていたジャンルではありました。Twitterのほうではいくつか短文の感想をアップしたこともありましたが、安定して感想が書けるようになってきたのは最近のこと。こちらではようやく3つ目の感想がアップできたところではありますが、この分なら今後ともすこしずつ増えていくことが予想されますので、この機会にと検討していた専用カテゴリの新設をしてみた次第。

今後、音声作品の感想はそちらのカテゴリに追加していく予定です。以前の感想もそちらに移しました。

なお、現状のこのブログの方針として、男性向けR18作品の感想をアップする予定はありません。全年齢・R15など、あくまでR18ではない作品の感想に限ります。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 03:00| Comment(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

お耳の調律師〜ランプ・メイジ〜

(音声作品の感想も3作目となったので、前回予告してたようにカテゴリを新設しました。今後、音声作品の感想はこのカテゴリにまとめていきます)

お耳の調律師〜ランプ・メイジ〜
お耳の調律師〜ランプ・メイジ〜

現世に疲れた人が迷いこむというアトリエ。そこは音によって人を癒し心を調える、調律師が構えるお店。そこで、見習い調律師のランプによって癒しの施術がほどこされる音声作品。

収録時間は3時間少々。まず耳もとで軽く水の鳴らされる音や炭酸の音などで疲れの度合いが測るパートがあって、その次に複数の音が重なり合うような形での本格的な調律がはじまっていきます。直接触れることなく耳に入りこんでくる音を楽しむパートから、綿棒や耳かきを使って直接耳にふれることで発される音に身を任せるパートへと徐々に移行していく感じの流れ、だったでしょうか。

調律がはじまる前の準備段階からは、ビンがふれ合うキンとした音、陶器が立てるカタカタとした音がよかったですね。

この作品、人の耳に触れないような音の再現がとてもよかったと思います。上記のような硬質な音もあれば、水が鳴るチャプチャプとした柔らかい音もあり、炭酸のパチパチとした刺激的な音もあって。そのどの系統のものも、とてもリラックスできて癒される音なんですよね。

気持ちのいい音を楽しませてくれるんだけどゾクゾクするというのとはすこし違う。なんというか、心地よさを感じられる音で。バックで鳴らされている水音を感じながら、耳もとで立てられる音に耳をかたむけているうちに、自然と意識が音に吸い寄せられていって、快い音の世界に入りこんでいってしまう。時間がたつのも忘れて聞き入っていたくなる。そんな音声でした。いいですよね、こういうの。

個人的に特によかったのは、耳もと(?)耳の中(?)での炭酸パチパチ。弾ける音がその刺激ごと耳にダイレクトに伝わってくる感じが刺激的でたいへんよかったです。

ただ、耳に直接触れてのパート、特にタオルを使ったパートになると、音に違和感が出てきていまいち楽しめなかったところであり。いい音もあるにはあった(耳のオイルマッサージではスベスベとした音が気持ちよくてとてもよかった)んだけど、ところどころ大味すぎるというか、人体とは違う素材感を感じさせられる音が混じるのが評価に困るというか。

とはいえ、そこ以外ではじゅうぶんに楽しめる作品であり。次の作品にも期待したいですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 02:28| Comment(0) | 音声作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする