2019年02月18日

イサック(1)

イサック(1) (アフタヌーンコミックス)
イサック(1) (アフタヌーンコミックス)

『イサック(1)』(DOUBLEーS,真刈 信二)|講談社コミックプラス

試し読みをしていたらゆるく勉強中のオランダ語が目についたため購入してみた一冊。まあさすがにオランダ語が出てくるのは1話の冒頭だけでしたが。(上記リンク先の試し読みですべて確認できます)

しかしこれ、1話冒頭に出てきてた言語って、実はオランダ語だけではなかったようで。主人公がしゃべってた言葉はオランダ語知識でおおよそ理解できるけど、それ以外の人物のものになるとそれだけではよくわからなかったりする。似てるところはあるんだけれども、単語レベルで違いがあるように思える。気になって調べてみた感じ、どうもそちらはドイツ語であるらしい。とすると、作中、それとオランダ語とで会話が成立してる(すごく訛ってると思われながらも)んだけど、ドイツ語とオランダ語の距離感ってそういう感じなんだろうか? この辺、ドイツ語の知識はまったくないのでわからない。

肝心な話としては、三十年戦争下のドイツで日本人傭兵が戦う話。表紙にも描かれているように、刀よりも鉄砲で活躍するキャラですね。たった一人で戦況を覆すほどの一撃をもたらす狙撃力の見せ方がうまい。敵には次から次へと大物が出てきて、凄烈な恩義と復讐心を胸に欧州大陸に現れた日本人傭兵であるイサックが、ここからさらにどんな活躍をしてくれるのかと期待させられる。

この話がどの程度史実に基づいているのかは不明。近世、それもドイツの知識はほとんどないので。ただ、1620年当時のスペインの王太子の名前はアルフォンソではなかったはずなので、フィクションの度合いは高め? まあそんなことを考えてしまうから、いまや歴史を題材にしたフィクションを純粋に楽しめなくなっているのだけど。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 01:56| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月08日

微熱空間(2)

微熱空間 2
微熱空間 2

微熱空間 2|白泉社

同い年だからこその、お姉ちゃんぶりながらも幼さを感じる部分もある(義)姉の亜麻音さんがとてもかわいい。家族だからという安心感もあってか隙のあるところを見せられるたびにドキッとさせられて、けど家族だからこそそれ以上に大事にしなきゃと思わされる感じが、なまじ年齢差があって上下関係がはっきりしてる姉弟関係よりも相手のことを意識させられて、ドキドキ感が増して感じられること。家族になってからまだそれほど間もない間柄だからこその、余計に異性であることを意識せずにはいられない感じ。他人から家族へと移り変わる間の微妙な状態だからこその空気がいいですね。まあ一度こうなってしまうとスムーズに移行して終わりという形で納まりがつくのかどうか。恋愛感情とはいいきれないながらも、そちら方面のネタというか雰囲気というかをより濃く取り込んできた感じでしょうか。ひとまず、これはこれでいいですよーということで。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 15:59| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月05日

とどのつまりの有頂天(1)

とどのつまりの有頂天 1 (ヤングキングコミックス)
とどのつまりの有頂天 1 (ヤングキングコミックス)

とどのつまりの有頂天 第1巻( あらた伊里 ) | 少年画報社

なんだこのむちゃくちゃなテンションの高さは……。まさに有頂天ですか。フルスロットルですか。ともあれ百合ですよ。女の子たちがひたすらハイテンションで、こいつは楽しいマンガでした。

表紙絵を見て、かわいい女の子がわいわいきゃーきゃーするかわいい話なのかなと想像してたんですが、ものすごく意表を突かれたというか。いやまあ確かに「わいわいきゃーきゃー」はまちがいとは言いきれないんだろうけど、もっとこう、なんというかにぎやかな話でしたね。確か1話のハグシーンくらいまでの試し読みで購入決定したはずなので、読む前後での印象の違いがものすごいことになってるんですけど、という。

冒頭から登場してる美古都と猫崎さんのペアだけならまだほほ笑ましい感じの百合ラブコメっぽい話だったと思うんだけど、そこに一度に4人もキャラが追加されて、一気に騒々しくなった感が。勢いまかせにボケたおす女の子がいて、リアクションでキレまくる女の子がいて。どの話も収拾つかないレベルでワイワイキャーキャーはしゃぎまわって……楽しそうだなあオイ!

いや本当に、これほどうざキャラっぽく騒ぎまくって、顔面崩壊レベルでかわいさなんてふっ飛ばされてる場面も多々ありながら、それでいてどの女の子にも百合を感じさせる瞬間があるのって、実はめちゃくちゃすごくないですか? 序盤の百合からギャグレベルのコメディへの転調があまりにも激しいものだから、コメディ主体の百合ラブコメなのかとも思ってしまったんだけど、一冊読み終わるころには百合もギャグも境目がわからないほどに入り混じった、ひたすらハイテンションな百合ラブコメだったと思えて、とにかくすげえという感想になるという。

そしてそんなギャグと百合の境界線を主に破壊してくれるのがタクヤと夜空のカップルであり。3話にしてもはやおなじみになりつつあったボケたおしの間にはさまれる「学校では(キスは)しない」のひと言があまりにも衝撃的で……いや、だってこのセリフが発されたとき、まだまだギャグ展開する空気だったじゃないですか。それなのに突然こんなまごうことなき百合セリフをはさまれて。まじかよ、ふーん……って、え、ちょっと待って、この子いまなんて言ったえええええ!?みたいな。すぐに頭が切り替わらないんだけど、遅れて理解できたときの衝撃たるや。その後もワイワイやってる合間にときどき甘えたな夜空とぐいくい引っ張ってくタクヤという関係性を見せてくれるものだから、ギャップで好感度の上がりかたがすごい。特に本編後のおまけマンガ。なにこのかわいいカップルは。いいぞもっとやれ。

一方で主役(?)である美古都と猫崎さんのペアは、まだカップルとは呼べなさそうなラインながら、徐々に相手を意識する気持ちが高まってきて自分たちでも持て余しぎみになってる様子が、上記の幼なじみカップルとは違って初々しくもあり、それが百合の空気感としてとてもかわいらしくもあり。にぎやかな四人組に釣られるようにこちらにもハイテンションさが混ざってきてもいるけれど、それはともかくこれからの展開に期待が高まるふたりではあります。

巻末には作者の以前の作品の番外編が載ってましたが、こちらはこちらで本作に輪をかけて掛け合いでの顔面崩壊がひどいというか、フルスロットルさが半端ない。ということは、これがこの作者さんの持ち味ということなんでしょうか? それはともかく、しかしこの連載一話分にも満たないページ数でしっかりキャラをつかめてそのうえ笑いもとってくれるからすごいというか。『総合タワーリシチ』、こちらも気になってきますね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 21:14| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月04日

金色のマビノギオン ―アーサー王の妹姫―(2)

金色のマビノギオン ─アーサー王の妹姫─ 2 (花とゆめCOMICSスペシャル)
金色のマビノギオン ─アーサー王の妹姫─ 2 (花とゆめCOMICSスペシャル)

金色のマビノギオン ─アーサー王の妹姫─ 2|白泉社

おお! おもしろくなってきてる。おもしろくなってきてますよ。もともとキャラクターの雰囲気はすごくいい感じではありましたけど、ストーリー展開もおもしろくなってきました。

舞台は当初のアヴァロンを離れ、アーサー王子の戴冠式(代理出席たまき)が行われる都カーレオンへ。先見の力で流血が予見された戴冠式で、いったい何が起こるのか……という危惧を含みながらの進行。

うーん、なかなかにシビアな展開でした。ついに犠牲者が出る展開。アーサー王子の御一行を含めた当初からの登場人物はいわば主要なキャラクターであり、そこから欠けていく者が現れるのを見るのはショックを受けずにはいられない。そのうえ、それを契機にしてメンバー間でも感情的な齟齬が生じている展開。なかなかにつらいものがあります。

特に、犠牲はつきものであってそれを状況を勘案してどうコントロールするかが大事と考えていそうなマーリンと、現代的な価値観から犠牲を許容するなんてありえない真との師弟げんかは、かなり根深い価値観の対立になりそうで、どうなることかというところ。マーリンのいうように慣れてしまってほしくはないけれど、でも物語の舞台であるアーサー王伝説って悲劇の物語じゃなかったっけと思うと、そのままでは心が参ってしまうのではという不安はつきまとう。ただ、マーリンとしても待ちの姿勢に入っているわけではなく、可愛い子どもが駄々をこねているのを見つめているような鷹容な態度でいるように見受けられるので、そこまで悪いようにはならないのではとも思いたいところであり。というか、そうした弟子に手を焼かされることに困ったようでいて、けれどどこか楽しんでもいる感じが、なかなかに師匠感があっていいですよねというか。そうして齟齬がありながらと師弟でやいのやいのやってる様子はほほ笑ましかったりするのは、まあなんだかんだいっていい師弟コンビということなんでしょうか。

逆にパッと見はいい雰囲気ながらも不安があるのがエレインと広則のペア。広則が純情な恋心を発揮して(本人的にはたぶん)さりげなくアプローチをかけてるのはほほ笑ましくもあるんだけど、一途な感情であるがゆえに入れこみすぎるあまりに後戻りのできないところまでもずんずん進んでいっちゃいそうなこわさがあるんですよね。そもそも住む世界が違う者同士なんだけどと、こちらとしては思ってもしまうんだけど、でも当人からすればきっとそんなことはどうでもいいんだろうなという気もしたり。好きになった女の子のためだもんなあ。よくないなりゆきにならなければ。いまはまだそれで……。

とはいえ、そうしてひとつの惨事でやや変化はありつつも、アーサー王伝説の登場人物たちと現代日本の高校生たちとの組み合わせが織り成す雰囲気は1巻からひきつづきとてもいいものだったのではありまして。

たまきはアーサー王子と瓜二つな顔で無邪気な言動をとっては周囲を和ませてくれるのが楽しいキャラであり。本物のアーサー王子に古くから仕えるガウェインとの組み合わせが多くなる関係上か、ガウェインまで若干たまきっぽくなってきてるところがあるのはご愛嬌ということで。

というか、番外編読んであらためて思いましたけど、たまきって本当にアーサー王子にそっくりなんですね。疑ってたわけではないんだけど、たまきって普段からナチュラルに広則の恥ずかしい秘密を暴露したりとあまりにも無邪気な感じなので、その外見で王子っぽさが出るんだろうかと思ってしまう部分があったんですよ。でも、番外編でアーサー少年の姿を見てると、可愛らしいながらも生意気さを感じたりしっかり男の子っぽさを感じさせる表情になってて、おおっと驚かされるものがありましたね。それと同時に、こっちのアーサー王子を知ってる人が、同じ顔で無邪気すぎるたまきを見てるとギャップで笑っちゃう気持ちもわかってしまっておもしろいところであり。

その他、真もアーサー王フリークスぶりはあいかわらずで、カーレオンの宮廷での新キャラたちを目の前にしてテンション上がりまくりな様子は笑えました。というか、アヴァロンの推定地っていくつか説があるんですね。ウーサリアンの世界は深い……。

あと、今回の陰謀の裏で手を引いていたモルゴースに関しても、魔女と呼ばれてたり悪役っぽい印象付けをされてはいるものの、玉座を巡る争いの席に着くものとしてはまだまだこれ以上に狡猾にもなろうというもので。というよりむしろ、外見的には妖艶な美女だったり、かと思えばロット王とのやりとりでは痛いところをつかれてかわいらしさを感じさせる表情も見せてくれたりと、なかなかに憎めないキャラであるように思ったり。

そんなこんなで、物語が大きく動いたとまではまだ言えないだろうものの、確実におもしろくなっているし、もっともっとおもしろくなっていきそうな期待も持たせてくれる一冊でした。これは次の巻にも期待が高まります。すごく楽しみなシリーズですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 01:53| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年01月31日

迷走するイギリス――EU離脱と欧州の危機

迷走するイギリス―― EU離脱と欧州の危機
迷走するイギリス―― EU離脱と欧州の危機

慶應義塾大学出版会 | 迷走するイギリス | 細谷雄一

親EU・反EUの姿勢をイデオロギー的かプラグマティズム的かで分ける捉え方。興味深い。(本文中で定義されていたわけではなく個人的な理解にすぎないが)イデオロギー的な親EUは理念共感型であり、プラグマティズム的親EUは実利重視型であり、イデオロギー的な反EUは自国主権に統制が加えられようとすることへの反発型であり、プラグマティズム的な反EUは移民や域内への拠出による国民経済への影響感を嫌悪する型であり、とでもなるだろうか。

それを念頭にイギリスとEU(それ以前のEEC時代からも含めて)の関係を見ていくと、イギリスのヨーロッパ統合運動への参加はごく初期をのぞいてほとんど常に経済的な実利重視の態度によるものだったようで。そこからくる理想主義への懐疑姿勢だったりで厄介なパートナーとしての地位も築きあげられていったのだけれど、それでもヨーロッパにおける一大経済国としてほかの加盟国と共同で統合への道筋を描いていっていた国家なのであって。それがイデオロギー的な反発が拡大していくことになったのは、マーガレット・サッチャー首相の時代。EU(当時はEC)が市場統合からさらに政治的社会的な統合へと深化していく方向性を打ち出しはじめたことが原因になったという。加盟各国の法をも規範する欧州的な憲法典、各国政府の政策をも規定する超国家的な統一政府、それら国家主権に対する束縛への拒否反応がイギリスではひときわ強かったらしい。大陸諸国とは海を隔てた島国であり、言語的にもアメリカとのつながりが強いのがイギリスであり、根本的なところまでは価値観を共有できなかったということなのかもしれない。それでも統合市場における経済的な利益の手放しがたさからその一員でありつづけてきたものの、着実に統合への道を進めようとするEUへの反発を政権内部でも抑えきれなくなった結果が2016年に行われた国民投票だったということだろうか。もともとイギリスは対外関係的に、対米重視・対欧州重視のはざまでかじ取りを迫られる部分があったようなので、EUべったりになりきれなかったところもあるのかもしれない?

また、昨今のイデオロギー的な反EU思潮の広がりにはイギリス国内のメディアが果たした役割も小さくないようで。イギリスの人々が日頃から目にする新聞の一部(大衆紙においても高級紙においても)で連日のようにEU懐疑の論陣が張られることで、もともとEUへの関心がうすかった国民にも反EU的なイデオロギーが浸透していく要因になったのだという。この辺、イギリスのメディアは日本と比べるとかなり政治的なスタンスをはっきりさせてると思う。2016年の国民投票に際しても、離脱賛成派・反対派ともども、メディアも含めてかなりの論陣が張られていたことと思われる。ただ、その賛成派の論陣は、本書以外でも書かれていることながら、客観的なデータよりも読者・聴衆の感情に訴えかけるメッセージが中心だったようなので、それはまさにポピュリズムそのものとしか言いようがないところ。けれどその投票で実際に勝ってしまったのが離脱賛成派であって。一部のメディアではポピュリズム対アカデミズムのような論調を見かけることもあるけれど、そんな構図が成り立ってしまうほどにポピュリズムが力を持ってるのが現在のイギリスなのだろう。そんなイギリス社会にも興味があるところではあるが、これ以上は話が逸れるのでそれはともかく。

現実時間ではいよいよ離脱の日が近づいているにもかかわらず、いまだイギリス・EU間における離脱後のための協定は結ばれていない。離脱派内部でも意見にばらつきがあったり、離脱反対派は二度目の国民投票を求めていたりと、EU離脱問題に限ってもタイトル通りの迷走がつづいているイギリス政治。現在の争点は何か、その背景にはある問題はどういったものか、そしてこの問題の先にどのような展望が開けていくのか……。興味の尽きないところです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 20:32| Comment(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年01月22日

偽りのフレイヤ(2)

偽りのフレイヤ 2 (花とゆめCOMICS)
偽りのフレイヤ 2 (花とゆめCOMICS)

偽りのフレイヤ 2|白泉社

泣き虫な村の少女が、将来を嘱望されていながら命を落としてしまった王子になりかわる。難易度無理ゲー級ファンタジー少女マンガ第2巻。

今回も至難の展開がつづいてた。命を狙う者との対峙、決闘裁判……それら村娘時代には縁のなかった血と争いごとの世界で生きていくことをひきつづき強いられる。しかも、周りを以前の王子を知り、かつ王子のなりかわりを知らない家臣や側近たちに囲まれながら……。相変わらず無理ゲー感が強い。

共犯者はいまやふたり。幼馴染の兄弟の片割れで従騎士のアレクシス(アレク)と、その主人であり王子本人の腹心でもあった近衛騎士ユリウス。降りかかる危機をはね除け、偽りの王子をサポートしていくには人員が不足しているのは明らか。

けれどそんな状況であろうとも、フレイヤは偽りの王子を演じることを求められるわけで。決然とした態度、周りの者を引きつけずにはおかない強気さ、傲慢なほどの自信とそれが様になる美しさ……。それらを持ち合わせていた王子と、ただ容姿が瓜二つだっただけの自分との乖離はとても埋めきれるものではないにもかかわらず。

それでも、この少女は「王子」になってしまうんですよね。側近の危機に、領民の危機に、彼ら彼女たちを救えるのは「王子」しかいないからと、「王子」ならば救えるかもしれないのにと、その「王子」とはいまや自分のことなのだと、内なる声に従うように。まるで理想の「王子」を演じるかのように。内気な少女としての一面は変わらず存在しつづけているからこそ、その姿とのアンバランスさにハラハラさせられることといったら。

無理をしているフレイヤを見るたびに、アーロンのことを残念に思わずにはいられない。最大の心の支えでしたからね。アレクとユリウスでは、ふたり合わせてもまだ足りない。けれど、だからこそ、ふたりとの絆がすこしずつ強くなってきているのを感じさせられもする。ユリウスとは、いちばん大切な者を亡くした心の傷を抱える者同士として。アレクとは、王子らしさを求められる環境下で少女としてのフレイヤをさらけ出せる相手として。

くわえて、王子の側近にも、事情は知らずとも支えになってくれる人はすこしずつ増えてきているのが救いではあり。偽りの王子としての振る舞いにも確かにカリスマ的な魅力の片鱗はあるけれど、ここぞというとき以外のフレイヤはやはり心優しい少女であり。そんな「王子」の意外な一面によって忠誠心を増していく者を見ていると、彼らの存在がフレイヤの心の支えにまでなれる日がくればと願わずにはいられません。

とはいえ、フレイヤもただ泣き虫なだけの少女ではないんですよね。柱のところでジャンプ力はすごいと書かれてたように、身体能力に関してはもともとそれなりのものを持っていたようで。腕力はともあれ脚力についてであれば、ユリウスにサルと罵られたりするほどのものを何度か発揮してくれてたりもする。なので、剣を持っても一概に非力とはいえない一面に驚かされたりもするんですよね。

秘めたポテンシャルを知るにつれて、もしかしたらそのうちに偽りの王子としての演技も板についてくるのかもしれないと期待させてくれるものはある。けれど、平時ならばともかく、フレイヤたちの国はいま戦争をまっただ中にあるのであって。しかも形成は不利。そんななかでの「希望の王子」だったんですよね、もともとのエドヴァルト王子は。やっぱりこれは荷が勝ちすぎてますよ。

いよいよ戦争の最前線に飛び込んでいく流れになって、果たしてフレイヤはどれほどの衝撃を体験することになるのか。不安で不安でしかたなくて、だからこそ目が離せないシリーズです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 03:32| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年01月20日

あの娘にキスと白百合を(9)

あの娘にキスと白百合を 9 (MFコミックス アライブシリーズ)
あの娘にキスと白百合を 9 (MFコミックス アライブシリーズ)

あの娘にキスと白百合を 9 | あの娘にキスと白百合を | 書籍 | 月刊コミックアライブ オフィシャルサイト

番外編が本編感ある。既刊のカップルが再登場してくれて、そのままの雰囲気でいちゃいちゃしてくれるのがとてもいいんですよね。

いつきと紗和のカップルは、あいかわらずさーちゃん大好きすぎて昔の思い出まで全部覚えてるレベルないつきに対して、それを受け止める側の紗和が素で忘れてたりするやりとりがおもしろかったりするんですけど(誕生日忘れてたりとか)、今回も、うろ覚えで昔の思い出の品を持ち出してくる紗和に、さーちゃん大好きすぎるいつきがあえてツッコミを入れることなく、うれしそうにしてる自分を見てしあわせそうにしてるさーちゃんが見れて幸せな気分になれてるという、そんな入り組んだ構造にこちらまで幸せな気持ちにさせられるようでした。

あまねと仁菜と諒の三人は、シリーズでは独特の三人仲良く感が出てるのがいい感じで。そしてその中に、三人仲良く大好きなあまねと、そんなあまねの様子に幸せそうな諒と、三人という関係性にまだ照れのある仁菜という、三者三様の心情をばっちり感じさせてくれるのがいいものであり。

あとがきによると、シリーズ通した主役である白峰さんと黒沢そんの話もそろそろ終盤ということで。次はどんな話になるのか、楽しみですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 01:10| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年01月16日

メイドのユキさんのヒーリング耳セラピー

(今回も雑記カテゴリで。さらに増えるようなら専用カテゴリ設置を検討します)
メイドのユキさんのヒーリング耳セラピー

記憶喪失のご主人様と献身的なメイドのユキさんによる耳かき系音声作品(と自分の中では分類してますが、サークルさん側が呼称するようにヒーリングセラピーと呼んだほうがいいかもしれません。耳かき以外の場面も多いことですし)。作品紹介によればシリーズ3作目ということですが、これだけ聴いても問題なし。まさに自分がそうでした。ご主人様が記憶喪失になってしまった設定とも重なって、かえってまっさらな気持ちで楽しめたように思います。

トラックの内容としては、作品紹介ページ(画像リンクより)を見てもらったほうが正確かとは思いますが、耳かき、オイル(耳)、散髪、シャンプー、綿棒と耳オイル等、さまざまな場面が用意されており、多彩な音で癒してもらえます。耳かき音は定番ですが、音による癒しはそれのみにはあらず。それ以外にもいろいろな音を体験させてくれる構成がポイントです。自分の好みの音が多かったのでなおさら。

まず、オイルセラピーのさわさわ音、とてもよかったですね。音の鳴る場所が移動しながらなのを感じつつ、両耳同時に表面をなぞられる感じが伝わってきて、ゾクゾクさせられること。その後のタオルで拭く音も、オイルっぽいぬるぬる感から乾いた布のさわさわ感もいい感じで。そして、最後の手のひらで耳を揉みこむマッサージ、これがたまらない。耳を押さえるようにしての動作なので、耳がふさがれるようになって、聴覚がぼうっとなる感覚がめちゃくちゃ気持ちいい。これ好きなんですよね。両耳同時なので意識までぼうっとさせられそうな快感。

散髪セラピーでのハサミのちょきちょき音もよかったです。ハサミの刃を開閉する軽快な音が頭の周りをあちらこちらに行き交う気持ちのよさ。触れるか触れないかくらいの距離感で、軽やかでありながら甘やかさを感じさせるハサミの入れ方が絶妙にぞくりとさせてくれるんですよね。特に、まゆげをそろえるところで、それまで以上にハサミの音が慎重になるところ。真剣に目分量を図るようにしながらジョキ、ジョキとすこしずつ髪が切られていく様子が、丁寧なうえに丁寧さを感じさせてくれるようでたまりませんでした。結構なお手前で。

お風呂後の、顔に乳液を塗るすべすべとした音も心地よかったですし、耳にアロマオイルを塗るときはまた耳を塞ぐようにしてくれるからたまりませんでしたね。耳の表面を指がなぞるさわさわ音の合間にこもって聞こえる声はものすごく気持ちいい。耳ツボのマッサージをはさまれたりもするものだから、本当にトんでしまいそうになる快さ。最後に乾いた布で耳を拭くかさかさ音もたまらなくて、実に癒されるパートでした。

総じて、これ単体でもストーリーは問題なく理解でき、ヒーリングセラピーの音としてもどれもとても気持ちのいい音ばかりで、とても満足のいく一作でした。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 02:28| Comment(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年01月13日

オネエ男子、はじめます。(3)

オネエ男子、はじめます。 3 (花とゆめCOMICS)
オネエ男子、はじめます。 3 (花とゆめCOMICS)

オネエ男子、はじめます。 3|白泉社

事態のややこしさの跳ねあがりようが尋常じゃないんですど! なにこれ。いろいろ斜め上の展開すぎてツッコミが追いつかない追いつかない。展開的に乗りに乗ってておもしろいことといったら。そういえば、巻末の作者さんのコメントで気づいたんですけど、いわれてみればこのシリーズ、1巻から特に登場キャラクターが増えてはいないんですよね。それもあって、勢いだけで生きてるようなおバカどものこと、それぞれのキャラにいろんな展開があって、そのたびに予測のつかない方向に話が転がってはノリでまあいいかで済まされて。その結果、どんどん明後日の方向にズレてきている展開のおもしろさよ……。今回もめっちゃ笑った。ここからまだどう転がっていくのか、非常に楽しみなシリーズになってますよね。

それにしても、オネエ修行をしてたはずがどうしてこうなった……という感じだけど、たぶんアレだよね。オネエ修行のはずが、途中から女子力上げすぎて女装にも足を踏み入れだしたのが、今回のいろいろおかしな進展の元凶ですよね。男子が苦手な音鐘さんとお近づきになることが目的だったはずが、なぜか女装姿で会って話したりなんかしてるから……。なんで女装姿の自分がライバルみたいになってるんでしょうねえ。というか音鐘さんのほうも女装姿の「高橋さん」相手なら満更でもなさそうすぎていろいろおかしい。特にラストの展開は予想外すぎて。もういっそそのままいけるところまでいっちゃうのもおもしろそうだけど、さすがにそうなると話がややこしくなりすぎるでしょうか。当初の目的からしてもどこかで軌道修正必須なんでしょうけど。ただそれにしたところでもうどこから手をつけたらいいのか、いろいろよくわからない状況ですよね。まあそこがおもしろいんですけど。

女装といえば、「せらちゃん」もすっかり女装が板についてしまって……。中身はふつうに女好きな男子なのに、本人はノリノリだし、無事に(?)女装男子としの認知も広がってるんですよね。交際設定とかまて付与されだしたりしてて、こちらもこちらでどうしてこうなった……は最初から読んでればちゃんとわかるんですけど、あらためてふりかえるとやっぱりツッコミ不可避ですよね。まあともあれこっちもおもしろいことになってるのが楽しいキャラであり。

高橋の妹の杏ちゃんも、今回もおバカにズレたオネエ修行への冷静なツッコミがおもしろくありつつ、くわえて兄やその友人たち(男)の無駄にレベルの高い女子力へのリアクションに笑わせてもらったり、コメディ的に欠かせないキャラになってますよね。その一方で、伊織との関係で伊織の不憫感だけでない展開が見られたのはとてもニヤニヤさせてくれるものでもありました。

そして、個人的にうれしかったこととしては、出張版の話で『水玉ハニーボーイ』の仙石さんがまた登場してくれてたこと。しかも、短いページ数のなかでイケメンぶりをしっかりばっちり発揮してくれてたからもう満足。格好良い仙石さんホントいいですよね。

ともあれ、話もとても気になるところでつづいており、次の巻が待ち遠しくなってくる話ではありました。展開的にも乗りに乗ってる感があって、要注目のシリーズだと思います。未読の方はぜひ。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 20:02| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年01月11日

「ラノベ人気投票『好きラノ』 - 2018年下期」に投票します

https://lightnovel.jp/best/2018_07-12/

さて、今回もこの時期がやってきたということで、候補を選定しようと期間内対象作品をピックアップしていたら数冊しか読んでないことに気づいて途方に暮れました。はい。そういえば、前回もなかなか投票したい作品見つからなかったところ、ぎりぎりでひとつ見つかったのでかけこみで投票したんだった。そんなことを思い出してみてもいたしかたなし。直近のラノベの読めてなさがひどい。本自体は読んでるんだけど、ラノベの比率の減少が著しい今日この頃。

ともあれ、今回投票するのは以下の2作です。男性向け単行本から1作、女性向け文庫から1作。どちらもとてもいい作品なので、気になった方はぜひぜひどうぞ。

予言の経済学(1)巫女姫と転生商人の異世界災害対策 / のらふくろう  感想記事へ
予言の経済学 1 巫女姫と転生商人の異世界災害対策 (レジェンドノベルス)
【18下期ラノベ投票/9784065136263】
新興のレジェンドノベルスより。超常的な予言を科学的な推測に変え、現実的な対策を考えていく話。仮説ベースで予言を検証していく過程は謎解きのようでおもしろく、出自を考えれば不安になってくるくらいの純真さで主人公を慕うお姫さまとそんな彼女に警戒心を隠せない幼なじみと主人公の間で生じる三角な人間関係も楽しかったり。

呪いの王女の幸せな結婚 / 水月青  感想記事へ
呪いの王女の幸せな結婚 (ソーニャ文庫)
【18下期ラノベ投票/9784781696287】
歪んだ関係性を描くことに定評のあるソーニャ文庫より。箱入りで世間知らずな王女さまが幸運の王子との結婚により幸せを手に入れる話であり、またその純粋な幸せの裏に隠された強烈な執着心に魅せられる話でもある。幸せは籠の鳥。ヒロイン視点と、ヒーロー視点で、一冊で二度楽しめる物語です。

以上になります。

期間内に読んだ中でのベストは火崎勇『王位と花嫁』(講談社X文庫ホワイトハート)だったんですけど、これは上期の作品なので投票できず。残念。

次回は5票くらい投じられたら……とは思いつつも、最近の読書傾向的にどうなることやら。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 21:24| Comment(0) | 読書まとめ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする